親知らずと歯科矯正

歯科矯正で最も大切なことは、治療後の状態を正確に予想して、本当に抜かずに、口元もきれいに、岐み合わせも歯並びもきれいに治せるかという歯科医の診断で、そのなかには、治療後どこまで安定できるかという見通しも含まれています。それには、 高度な技術 と豊富な経験が必要です。 お父さん ・お聞さんは、歯を抜く必要があると診断されたとき、短絡的に 「抜きたくない」とい

うのではなく、よく話を聞いて、不正岐合のなか には、どうしても歯を抜かなければ治せない症例があることも理解してください。

むし歯や歯肉炎があると矯正装置がつけられませ ん。矯正歯科治療中には、丁寧な歯みがきを習慣づける必要がありますが、これは、治療中にむし歯や

歯肉炎をつくらないためで、矯正歯科医院では歯科衛生士が歯みがき指弾をしていますから、むし歯はできにくいはずです。ただし、お子さんの場合、矯正歯科治療に対する

自発的な参加意識が低いためか、指導されたようにきちんと歯をみがかず、むし歯をつくってしまうこ ともあります。また、治療が進み、デコボコの歯が

少しずつそろってきた途中で、歯の陰に隠れていた むし歯が出てくることがあります。

そのような場合には、ホームデンテイストのもとで、それらの治療を先にしてもらう必要があります。家族の方には、その点も少し注意して見ていただきたいと思います。

親しらずは生えてきたから抜くというのではなく、それがどこの位置にどういう状態で生えてきたかが問題になります。正常な位置にきちんと生えてきたのであれば、もちろん抜く必要はありません。

実は、現在の日本人で親しらずがきちんと生えてくる人は少なく、統計では八割ぐらいの人が斜めになったり真横になったりと、正常に生えてこないのが現状です。

例えば親しらずが半分埋もれたような状態だと、むし歯になったり、炎症(智歯周囲炎)を起こした りしやすく、岐み合わせにも問題が出てきがちです。

このように、口の中全体に悪い影響を及ぼす恐れが あるときは、抜いたほうがよいといえるでしょう。

矯正歯科治療との関係でいえば、歯を動かす本格治療が終わり、歯並びを安定させるための保定治療

期間中、あるいはその後に親しらずが生えようとするとき、生えてくるスペースがなく、その親しらずが他の歯を押して、きれいになった歯並びに悪影響

を及ぼすと判断された場合には、将来を見越してそれを抜きます。ですから、生えてからよりも、生える前の歯佐の うちに抜くケースが多いと思われます。

親しらずは退化の過程にある歯といわれ、現代ではない人も珍しくありません。また親しらずがなくても、食べものをかむ上で不都合が生じることはあ りません。

要らないのに問題ばかり起こすと、つい悪者扱いされがちな親しらずですが、きちんとま っすぐに生 えていれば問題はないわけです。親しらずがあるか

らといって、 何でも抜いてしまえばいいという考え 方には、私たちは賛成しかねます。